光殺菌治療とは
感染部分に光感受性物質を注入することにより、光を照射し殺菌する、安心・安全な治療法です。
光殺菌治療は、がん治療などに使われる「光線力学療法(PDT=Photo-Dynamic Therapy)」に由来します。PDT は副作用があるがん治療で安全性の高い治療法として注目され、90年代に二問で保険適用もされている治療法です。同じ仕組みで歯周病をはじめとする歯科細菌感染症の治療に応用したものが「光殺菌治療」です。
医科では早期がんの治療法として
医科では1990年ごろから光やレーザーを使って、肺や食道、子宮頸部、胃などの早期のがんに対して治療を行う光線力学療法(PDT=Photo-Dynamic Therapy)という治療法があります。
歯科では殺菌治療法として
歯科では同様の仕組みで数年前から欧米を中心に、抗生物質を用いない体に優しい安全な治療法として光殺菌治療が急速に普及しています。
光感受性ジェルを細菌に浸透させることにより、光で殺菌する治療法です。
どのような治療に有効?
細菌が引き起こす病変の治療に有効です。
- 根の治療(感染根管治療)
- 歯槽膿漏(歯周病)
- インプラント周囲炎
- むし歯
- 歯冠周囲炎
- アフタ(腫瘍)
- ヘルペス
- 扁平苔癬
- 真菌など
光殺菌治療の特徴
痛み・副作用がない | 痛みも副作用もありません。安心して受けることができます。 |
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耐性菌を作らない | 抗生物質のように耐性菌を作りません。定期的な歯周病ケアに継続して使用できます。 |
持続的な殺菌効果 | 活性酸素によって細菌を破壊する直接的な殺菌だけにとどまらず、生体が本来持つ免疫力(白血球の遊走)を引き出し、持続的な殺菌効果を生み出すことが研究で明らかになっています。定期的な歯周病ケアを受ける時、光殺菌を行うと次回の治療まで効果を維持させることが期待できます。 |
予防的な殺菌効果 | さらに、健康な部位に光殺菌を行えば、白血球の働きで細菌感染を防ぎ、予防的な殺菌効果があるとも研究を通して明らかになってきました。定期的に歯周病ケアを受ける際、光殺菌をすることにより健康な歯の将来的な歯周病予防も期待することができます。 |
その他 |
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※ 光過敏症の患者さまには利用できません。
光殺菌治療の手順
通常の治療を行います。根管内の掃除や、根の表面にある歯石など感染源を除去します。
光感受性ジェルを、根管内、歯周ポケット、粘膜上に注入、もしくは塗ります。
10秒~30秒間光を照射し、光殺菌します。
光感受性ジェルや死滅した細菌を洗い流します。
どのように効く?
- 光感受性ジェルが細菌の細胞壁や膜に取り込まれます。
- 特定の波長の光を照射すると、 光感受性ジェルがエネルギーを受け取り「活性酸素」を大量に発生します。
- 活性酸素が細菌の細胞壁や膜を破壊し、殺菌します。
通常の治療をした後に光殺菌治療を行うと、 「とどめの一撃」としての殺菌効果を期待することができます。従来の治療方法では除去することができない細菌を死滅させ、個人差はありますが感染の再発防止をします。
加えて、光殺菌治療は予防にも効果を発揮します。歯周病やインプラントの定期健診、矯正治療中のメンテナンスの時に予防的治療として光殺菌治療が効果を表します。